高齢者が転倒しやすい理由とは?原因・転倒しやすい場所・転倒予防の方法を解説
2026/10/19
こんにちは。整体院つなぎ~繋~です。
高齢になってきて、歩くとふらつきやすくなったと言われる方を施術することがあります。
「最近、つまずくことが増えた」「歩いているとふらつく」「以前より足が上がりにくくなった」と感じることはありませんか?
高齢になると、若い頃と比べて転倒するリスクが高くなります。わずかな段差につまずいたり、立ち上がった際によろけたりすることが、大きなけがにつながる場合もあります。
特に高齢者の場合、転倒によって骨折すると、歩行能力や日常生活動作が低下し、介護が必要になることもあります。そのため、転倒の原因を理解し、日頃から予防に取り組むことが重要です。
今回は高齢者が転倒しやすくなる理由や転倒が起こりやすい場所、転倒による危険性、具体的な転倒予防の方法について詳しく解説します。
1.高齢者が転倒しやすい主な理由
高齢者の転倒は、単に足腰が弱くなることだけが原因ではありません。筋力やバランス能力の低下に加え、視力の変化、病気、薬の影響、住環境など、さまざまな要因が関係しています。
① 筋力の低下
高齢になると、加齢や活動量の減少によって筋肉量や筋力が低下しやすくなります。
特に転倒予防に重要なのが、太ももやお尻、ふくらはぎなどの下肢の筋肉です。
これらの筋肉は、歩く、立ち上がる、階段を上り下りするといった動作を支えています。
下肢の筋力が低下すると、次のような変化が起こりやすくなります。
・歩行中に足が上がりにくくなる
・小さな段差につまずきやすくなる
・椅子から立ち上がる際にふらつく
・転びそうになったときに踏ん張れない
・階段の上り下りが不安定になる
また、転びそうになった際には、素早く足を踏み出して姿勢を立て直す必要があります。筋力が低下すると、この動作が間に合わず、転倒につながることがあります。
そのため、日頃から無理のない範囲で下肢の筋力を維持することが大切です。
② バランス能力の低下
人が転倒せずに立ったり歩いたりするためには、身体の重心を適切に保つ能力が必要です。
この能力をバランス能力といいます。
バランスを保つためには、筋肉だけでなく、視覚、内耳にある前庭機能、足の裏などから得られる感覚情報、さらに脳や神経による情報処理が関係しています。
加齢や病気などによってこれらの働きが低下すると、身体が傾いたときに素早く修正することが難しくなります。
例えば、次のような場面で転倒の危険性が高まります。
・歩行中に人とぶつかりそうになったとき
・急に方向転換したとき
・後ろを振り返ったとき
・片足で靴下を履こうとしたとき
・不安定な場所で立ち止まったとき
特に、歩きながら話をする、物を持つ、周囲を確認するといった複数の動作を同時に行うと、バランスを崩しやすくなる場合があります。
③ 歩幅が狭くなり、すり足になる
高齢者の歩行では、歩幅が狭くなったり、足を十分に持ち上げられずにすり足になったりすることがあります。
足が床から十分に離れないと、わずかな段差やカーペットの端にも引っかかりやすくなります。
また、歩幅が狭くなると、歩行速度が低下するだけでなく、歩行中の姿勢を立て直すための動作が遅れる場合もあります。
ただし、歩幅の減少やすり足は、単なる加齢だけでなく、パーキンソン病、脳卒中後の運動障害、関節痛などが関係していることもあります。
以前より急に歩きにくくなった場合や、足が前に出にくい状態が続く場合は、医療機関で原因を確認することが大切です。
④ 視力や視覚機能の低下
歩行中は、目から得られる情報を使って、段差や障害物、床の状態などを確認しています。
しかし、高齢になると、視力の低下や視野の変化、明暗への適応能力の低下などが起こることがあります。
その結果、次のような状況で転倒しやすくなります。
・暗い廊下を歩くとき
・夜間にトイレへ向かうとき
・床と段差の境目が分かりにくいとき
・階段の段差を見誤ったとき
・床に置かれた物に気づかなかったとき
白内障などの目の病気も、視覚情報に影響することがあります。
転倒予防のためには、定期的に目の状態を確認するとともに、廊下や階段、トイレなどを十分に明るくすることが重要です。
⑤ 関節の痛みや柔軟性の低下
膝関節や股関節、足関節などに痛みがあると、歩行時に身体を十分に動かせなくなることがあります。
例えば、変形性膝関節症によって膝が痛む場合、痛みを避けるために片側の足へ体重をかけにくくなることがあります。
すると左右のバランスが崩れたり、歩き方が不安定になったりする場合があります。
また、足首の動きが硬くなると、歩行中につま先を持ち上げにくくなり、段差につまずく原因になります。
痛みがあるからといって、無理に運動を続けることはおすすめできません。痛みの原因を確認し、身体の状態に合わせて関節の動きや筋力を維持していくことが大切です。
⑥ 感覚機能の低下
足の裏や足首には、身体の位置や床の状態を感じ取るための感覚があります。
これらの感覚情報は、立位や歩行時にバランスを調整するために重要です。
しかし、加齢や糖尿病による末梢神経障害などによって感覚が低下すると、足がどの位置にあるのか、どの程度体重がかかっているのかを把握しにくくなることがあります。
その結果、段差を正確に認識できなかったり、足を置く位置が不安定になったりする場合があります。
足のしびれや感覚の鈍さがある場合は、転倒予防だけでなく、原因となる病気の確認も必要です。
⑦ 病気や薬の影響
高齢者の転倒には、身体機能の変化だけでなく、病気や薬の影響も関係します。
例えば、次のような状態では転倒リスクが高まることがあります。
・脳卒中による麻痺や運動機能の障害
・パーキンソン病による動作の遅れや歩行障害
・糖尿病による神経障害
・不整脈などによる失神やふらつき
・起立性低血圧による立ちくらみ
・睡眠薬や一部の抗不安薬などによる眠気やふらつき
特に、椅子やベッドから立ち上がったときに目の前が暗くなる、ふらつくといった症状がある場合は、血圧の変化などが関係している可能性があります。
薬の種類や組み合わせによっても転倒リスクが高まることがあるため、気になる症状がある場合は医師や薬剤師に相談しましょう。自己判断で薬を中止することは避けてください。
2.高齢者が転倒しやすい場所
転倒は屋外だけでなく、普段生活している自宅内でも起こります。
① 自宅の廊下や居室
自宅では、床に置かれた物や電気コード、めくれたカーペットなどにつまずくことがあります。
普段から慣れている場所であっても、歩きながら別のことを考えていたり、足元を十分に確認していなかったりすると、転倒につながることがあります。
床に物を置かない、通路を整理するなど、つまずく原因を減らすことが大切です。
② 浴室や脱衣所
浴室や脱衣所は、床が濡れて滑りやすくなるため、転倒が起こりやすい場所です。
さらに、浴槽をまたぐ動作では片足立ちに近い状態になるため、バランス能力が必要になります。
滑り止めマットや手すりを活用し、浴槽をまたぐ際には安定した姿勢を保てるようにしましょう。
また、入浴時の急激な血圧変化によるふらつきにも注意が必要です。
③ トイレ
夜間にトイレへ行く際は、暗さや眠気によって足元への注意が不十分になりやすくなります。
さらに、起床直後は血圧の変化によって立ちくらみが起こる場合があります。
寝室からトイレまでの通路に足元灯を設置する、ベッドから立ち上がったら少し落ち着いてから歩き始めるなどの工夫が有効です。
④ 階段や玄関
階段や玄関には段差があるため、足を十分に上げられなかったり、段差の高さを見誤ったりすると転倒する危険があります。
階段では手すりを使用し、急いで上り下りしないことが重要です。
玄関では、靴を履くときや脱ぐときに片足立ちにならないよう、椅子に座って動作を行うと安全性を高められます。
⑤ 屋外の道路や歩道
屋外では、歩道の段差、傾斜、濡れた路面、砂利道などが転倒の原因になります。
また、横断歩道を渡る際に急いだり、歩きながら周囲を確認したりすることも、転倒リスクを高める場合があります。
歩きやすい靴を選び、時間に余裕を持って移動することが大切です。
3.高齢者の転倒が危険な理由
高齢者の転倒で特に注意したいのが、骨折や頭部外傷です。
① 大腿骨近位部骨折
転倒して股関節周辺を強く打つと、大腿骨近位部骨折を起こすことがあります。
骨粗鬆症がある高齢者では、比較的小さな衝撃でも骨折することがあります。
この骨折によって歩行が難しくなり、手術や入院、リハビリが必要になる場合があります。
② 手首や背骨の骨折
転倒した際に手をつくと、手首の骨折が起こることがあります。
また、お尻や背中を打つことで、背骨の圧迫骨折につながる場合もあります。
骨粗鬆症がある方は、転倒後に強い痛みがなくても骨折している可能性があるため、症状が続く場合には医療機関で確認することが大切です。
③ 頭部外傷
転倒して頭を打った場合、頭蓋内出血などの重大なけがにつながることがあります。
特に、高齢者や血液をサラサラにする薬を服用している方は注意が必要です。
頭を打った後に意識がぼんやりする、繰り返し吐く、強い頭痛がある、手足が動かしにくいなどの症状が現れた場合は、速やかに救急医療につなげてください。症状が遅れて現れることもあります。
④ 転倒への恐怖による活動量の低下
一度転倒すると、「また転ぶのではないか」という不安が強くなることがあります。
その結果、外出や散歩を控え、身体を動かす機会が減ってしまう場合があります。
活動量が低下すると、筋力や持久力、バランス能力がさらに低下し、転倒リスクが高まるという悪循環につながることがあります。
転倒後は、けがの状態を確認したうえで、安全に身体を動かす機会を確保することが大切です。
4.高齢者の転倒を予防するための方法
転倒予防では、身体機能の維持と住環境の整備を組み合わせることが重要です。
① 下肢の筋力トレーニング
転倒予防のためには、太ももやお尻、ふくらはぎなどの筋力を維持することが大切です。
例えば、次のような運動があります。
椅子からの立ち座り運動
1. 安定した椅子を用意する。
2. 足を肩幅程度に開いて座る。
3. 身体を少し前に傾け、ゆっくり立ち上がる。
4. バランスを保ちながら、ゆっくり座る。
まずは無理のない回数から始め、必要に応じて机や手すりにつかまって行いましょう。
膝や股関節に強い痛みがある方、立ち上がる際にふらつく方は、無理に実施せず、医療専門職に適切な方法を相談してください。
② バランス能力を鍛える
バランス能力を維持することも、転倒予防に役立ちます。
ただし、片足立ちなどの運動は転倒する危険があるため、安全な環境で行うことが必要です。
例えば、安定した台や手すりにつかまりながら、左右の足に均等に体重をかける練習から始める方法があります。
身体の状態に応じて、足踏みや重心移動などを取り入れることも考えられます。
ふらつきが強い方や転倒歴がある方は、一人で難しい運動を行わず、理学療法士などの専門職に相談しましょう。
③ 歩行能力を維持する
歩行能力を維持するには、日常生活の中で無理なく身体を動かすことが大切です。
体調や身体機能に問題がなければ、短い距離の散歩や室内での歩行などから始めるとよいでしょう。
歩く際は、足元だけでなく進行方向にも注意し、障害物を避けられる環境を整えておきます。
歩行中に強いふらつきがある場合や、以前より急に歩きにくくなった場合は、運動を続ける前に医療機関で相談してください。
④ 住環境を整える
転倒予防では、身体を鍛えるだけでなく、転倒しにくい環境をつくることも重要です。
具体的には、次のような対策が挙げられます。
・床に置いた物や電気コードを片づける
・カーペットのめくれや滑りを防ぐ
・廊下や階段に手すりを設置する
・夜間のトイレまでの通路を明るくする
・浴室に滑り止めや手すりを設置する
・かかとが安定し、足に合った靴を選ぶ
・必要に応じて杖や歩行器を適切に使用する
本人が慣れている環境でも、身体機能が変化すると危険な場所になることがあります。定期的に自宅内を見直しましょう。
⑤ 栄養状態を整える
筋力や骨の健康を維持するためには、十分なエネルギーとたんぱく質を摂取することが大切です。
肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などを組み合わせ、偏りの少ない食事を心がけましょう。
また、骨の健康にはカルシウムやビタミンDなども関係します。
食事量が減っている方や体重が落ちている方は、低栄養によって筋力が低下している可能性もあります。必要に応じて医師や管理栄養士に相談しましょう。
⑥ 薬や身体の状態を定期的に確認する
転倒を繰り返す場合は、筋力やバランス能力だけでなく、視力、血圧、足の感覚、服用中の薬なども確認することが大切です。
特に、立ち上がる際のふらつきや、原因が分からない転倒がある場合は、医療機関で評価を受けることをおすすめします。
5.整体院やリハビリでできる転倒予防
高齢者の転倒予防では、身体機能を評価し、その方に合った運動や生活上の対策を行うことが重要です。
リハビリでは、次のような項目を確認します。
・下肢の筋力
・立位や歩行時のバランス能力
・股関節や膝関節、足関節の可動域
・歩幅や歩行速度
・立ち上がりや方向転換の動作
・杖や歩行器の使用状況
・日常生活で転倒しやすい動作
これらを確認することで、転倒につながる可能性のある問題を把握し、適切な対策を考えやすくなります。
例えば、足首の動きが硬くてつまずきやすい方には、状態に応じた関節運動や筋力トレーニングを行います。
立ち上がりでふらつく方には、立ち上がり動作の練習や下肢筋力の強化などが考えられます。
ただし、転倒の原因は一人ひとり異なります。身体の状態を確認せずに、すべての方へ同じ運動を行えばよいわけではありません。
また、整体による施術だけで転倒を防げるわけではありません。必要に応じて医療機関で病気の評価を受け、運動療法や住環境の調整などを組み合わせることが大切です。
6.転倒を繰り返す場合は早めに相談しましょう
高齢者が転倒しやすくなる背景には、筋力やバランス能力の低下だけでなく、視覚や感覚の変化、関節の痛み、病気、薬の影響など、さまざまな要因があります。
特に、次のような場合は注意が必要です。
・最近、転倒する回数が増えている
・何もない場所でつまずくことが多い
・歩行中にふらつく
・立ち上がると目の前が暗くなる
・足のしびれや力の入りにくさがある
・転倒への恐怖から外出を控えている
原因を確認し、身体機能や生活環境に合った対策を行うことが、転倒予防の第一歩です。
急な麻痺や言葉のもつれ、意識障害、失神などがある場合は、単なる加齢と考えず、救急対応が必要です。
まとめ
高齢者が転倒しやすくなる主な理由には、筋力の低下、バランス能力の低下、歩幅の減少、視力や感覚機能の変化、関節の痛み、病気や薬の影響などがあります。
また、自宅の廊下や浴室、トイレ、階段など、日常生活の中にも転倒の危険が潜んでいます。
転倒を予防するためには、下肢の筋力やバランス能力を維持する運動に加え、住環境の整備、適切な靴の選択、栄養管理、身体の状態や服薬内容の確認が重要です。
「年齢のせいだから仕方がない」と考えず、つまずきやふらつきが増えた段階で対策を始めましょう。
転倒予防は、骨折などのけがを防ぐだけでなく、自分らしい生活を長く続けることにもつながります。
ご本人だけでなく、ご家族も一緒に生活環境や身体の状態を見直し、安全に歩ける毎日を目指しましょう。
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